ワークショップ事業
「文化芸術による子供育成総合事業-コミュニケーション能力向上事業-」
演劇の手法を活用したコミュニケーション能力育成のための参加体験型プログラムを実施
平成23年度より継続実施している受諾事業。令和2年度は、東京都小平市・埼玉県所沢市の教育委員会と連携協力を行い、演劇の手法を活用した、児童生徒のコミュニケーション能力育成のための参加体験型授業(ワークショップ)を地域の小中学校で実施。今年度は新型コロナウィルス感染拡大の影響を受け、中止となった学校もあったが、学校との連携協力および感染対策を行い、計7校でのワークショップを実施することができた。
実施校の児童生徒達は、本事業での体験を通して、自分と他者との違いを改めて認識し、その違いを受け入れ、お互いの考えや意見をすり合わせていく活動を継続して体験しているが、今年度は前半の休校期間中から閉塞感でストレスを抱える児童生徒も多く、例年以上に本事業を必要とする声を多くいただいた。とくに、修学旅行等の行事がすべて中止となってしまった、6年生の学年担任からは、事業の実施を通して、児童生徒達が最終学年としての活躍の機会と自覚を得ることができたとの所感を聞くことができた。
近年は継続地域ならではの連携協力体制を活かし、児童生徒を取り巻く様々な状況に対応した新しいプログラムの開発・研究も行なっている。
・東京都 | 小平市立小平第一中学校(1学年)=中止 |
小平市立小平第十四小学校(6学年) | |
小平市立学園東小学校(6学年) | |
・埼玉県 | 所沢市立牛沼小学校(4学年) |
所沢市立北秋津小学校(3学年)=中止 | |
所沢市立松井小学校(2学年) | |
所沢市立南小学校(3学年) | |
所沢市立中央小学校(5学年) | |
所沢市立北中小学校(4学年)=3学年は中止 |
豊岡市小中一貫教育「豊岡こうのとりプラン」ローカル&グローバル学習の時間
国際的な観光地でもある城崎温泉を擁する兵庫県豊岡市では、演劇的手法を活用した「コミュニケーション教育」を市内全小中学校で導入している。
豊岡市教育委員会とPAVLICが協働して、平成27〜28年度にわたって、実施カリキュラムと指導案の作成、及び市内5校にてモデル・ワークショップを実施。29年度より、学校の教員による全校実施を開始した。各地区のモデル校では、ワークショップ授業実施状況をPAVLICの担当講師が参観し、事後に実施校の担当教員・学校長、市教委担当者らをまじえた研修会を行い、ファシリテーションにあたっての指導・助言を行った。平成30年度〜令和元年度には、PAVLIC所属講師が市内全校を巡回して、各校で同様の研修会を実施した。令和2年度はコロナ禍のため予定されていた小小合同のワークショップ授業が中止となってしまったが、中学校でのモデル授業、研究授業を実施することができた。引き続き、来年度の計画も進めている。
・兵庫県 | 豊岡市立日高西中学校(1学年) |
豊岡市立竹野小、中竹野小、竹野南小学校合同(6学年)=中止 | |
豊岡市立小坂小、小野小学校合同(6学年)=中止 |
【研究授業および事後研修会】
・兵庫県豊岡市立出石中学校(1学年)
「道徳」と連動したプログラムのモデル授業を実施
「英語」と連動したプログラムの研究授業を実施
※事後の研究会はDVD動画による講評というかたちで行なった。
豊岡市「令和2年度豊岡市非認知能力向上対策事業」
近年、生涯の学びを支え生活の質を高めるものとして「非認知能力」が注目を集めている。
兵庫県豊岡市では、市内の児童生徒達の非認知能力の向上とその研究のために、演劇的手法を活用したワークショップ実施の採用について、令和元年度より検討と準備を開始。その実施と調査研究をPAVLICと青山学院大学(苅宿研究室)に委託し、令和2年度は市内2校の小学校(低学年対象に3回=計6回)に本事業を計画、コロナ禍により3学期の実施(2回)は中止となったが、NPOと大学が協働して、ワークショップ授業の実施と現場検証、対象の児童生徒達へのアンケート調査などを行なった。
・兵庫県 | 豊岡市立資母小学校(1学年、2学年、3学年) |
豊岡市立三江小学校(1学年、2学年、3学年) |
岡山県奈義町 コミュニケーション教育事業
平成26年度に出生率2.81を記録するなど「子育て応援宣言のまち」として全国でも知られる岡山県勝田郡奈義町において、町教育委員会(教育総務課)とPAVLICの協働により、平成29年度からの演劇的手法を活用したコミュニケーション教育の導入」に向けたプロジェクトを経て、平成30年度よりコミュニケーション教育事業を行なっている。
令和2年度は休校期間中の1学期実施は中止、2学期より学校教員によるワークショップ授業を実施することができた。PAVLICの担当講師は授業の様子を視察、観察し、放課後の教員研修会にて助言を行なった。8月の研修会では町内の小中学校教員を対象に、講義とモデルワークショップを実施した。
・岡山県 | 奈義町立奈義小学校(4学年、6学年) |
奈義町立奈義中学校(1学年) |
福島県立ふたば未来学園中学校「演劇」授業
東日本大震災および震災直後に発生した福島第一原子力発電所での事故により、福島県双葉郡は甚大な被害を受け、今なお復興の途上にある。この地において、震災や原発事故からの復興を実現し、先進的な新しい教育を創造するべく「自立」「協働」「創造」を校訓として、平成27年4月に県立ふたば未来学園高等学校が開校。平成31年4月には県立ふたば未来学園中学校が開校した。両校では「未来創造型教育」を展開しており、中学校では、初年度の1年生を対象に、年間を通して「演劇」の授業(演劇的手法を活用したコミュニケーション・ワークショップ)を実施し、PAVLICの講師がプログラム開発および講師として関わり、中学校での演劇の授業の中核を担っている。
令和2年度は1年生(全13回)、2年生(全6回)の各2クラスをPAVLIC講師が複数で担当していたが、コロナ禍の休校期間中は中止(1年生=7回分中止/2年生=4回分中止)、2学期は通常実施となったが、3学期はオンラインを活用したリモートワークショップを行う予定で計画している。
福島県立ふたば未来学園高等学校「演劇を通して地域の課題を知る学習」
平成27年の開校以来、演劇の手法を活用した授業を行っている、ふたば未来学園高校1年生の「ふるさと創成学」で行なう地域課題研究の演劇指導を前任者より引き継ぎ、令和2年度より、PAVLIC講師のわたなべなおこが中心となり、ワークショップ授業と創作指導を行なっている。
1年生4クラスを対象に、彼らが校外で取材した地域の課題について、グループ創作による台本製作を行ない、地域の課題を演劇作品として立ち上げ、稽古と発表まで行なう全10回の授業(コロナ禍で1学期の2回が中止)で、3年間の高校生活の中でも負荷が高いが、最もクリエイティブな授業として学校も力を入れている。実施にあたっては、PAVLICの複数の演劇講師と学校教員が協働して、事前事後打合せ、プログラム作りと運営を行なっている。
都立校生の社会的・職業的自立支援教育プログラム事業
都立校におけるキャリア教育の取組を充実させるために、平成27年度より地域教育ネットワーク東京都推進協議会の会員団体となり、東京都教育庁地域教育支援部生涯学習課と連携して、演劇の手法を用いたワークショップ授業を行っている。宿泊防災訓練時に行なう防災コミュニケーション・ワークショップや、「日本語コミュニケーション」「道徳」「人間と社会」「キャリア教育」等の授業と連動したプログラムを実施している。
今年度は新型コロナウィルス感染拡大の影響受け、中止となった学校もあったが、学校との連携協力および感染対策を行い、計6校でワークショップを行なった。緊急事態宣言下の長期休校や部活動休止など、多くの生徒達は厳しい学習環境におかれている。不登校や中退を防止するためにも対面のコミュニケーションスキルの向上は重要であり、通年の継続実施を希望する学校もあるが受諾できる事業予算枠が限られており、この点は今後の課題である。
・東京都立 | 武蔵高等学校附属中学校(1学年) |
大森高等学校(2学年)=中止 | |
小山台高等学校(定時制1学年) | |
髙島高等学校(1学年) | |
日野台高等学校(3学年選択授業) | |
府中高等学校(1学年) | |
大山高等学校(定時制全学年) |
福島県立ふたば未来学園高等学校 教員研修
同校1年生の「演劇を通して地域の課題を知る学習」担当講師のわたなべなおこが、高校の教職員20名を対象に、教科(現代文:夏目漱石「こころ」)と連動した演劇ワークショップのプログラム体験と解説レクチャーを行なう研修会を実施。体験と質疑応答などの対話を重ねるこよとにより、演劇手法の活用についての理解を促し、学校内での研究とプログラム開発を促進するための取組みを継続的に行なっている。
演劇を活用したワークショップ研修会
近年、演劇ワークショップが教育やビジネスの分野をはじめ、介護や医療、防災、多文化共生、といった地域課題等においても活用される機会が急増しており、それらに対応できるファシリテーターおよびコーディネーターを育成することを目的として2019年2年間の講座が開催された。
本研修会は、20021年度も新規受講者を募集して開催予定、また、2019年からの受講生も3年生として専修課程に進む予定である。当研修会において、プログラム・ディレクションおよび講座運営等をPAVLIC所属講師が担当している。
主催: | こまばアゴラ劇場 |
プログラムディレクター: | 田野邦彦、林成彦、わたなべなおこ |
講師: | 河野悟、北村耕治、菊池ゆみこ |
世田谷区教科「日本語」教科書監修
東京都世田谷区教育委員会からの委嘱を受け、同教育委員会が編集・発行する教科書「日本語」(教科書改訂版製作:大修館書店)の2020年度からの中学2年生単元「演劇を創作してみよう」の書き下ろし協力と監修を行なった。
編集担当: | 田野邦彦、太田裕子 |
オンライン日本語教育ワークショップ
「日本語コミュニケーション×演劇の仕掛け 〜夢中になる授業づくりのために〜」
イタリアのローマ日本文化会館(国際交流基金)からの委託を受け、イタリア人および海外在住者を中心とした日本語学習者、日本語教師、日本語教育関係者を対象に演劇的手法を用いたアクティビティ体験と《日本語コミュニケーションの特徴》《夢中になる授業づくり》について、演劇専門家の視点から紹介するオンライン・ワークショップを実施した。
学習者対象ワークショップ 1月30日(土)10時~13時、2月6日(土)10時~13時
日本語教師等対象ワークショップ 2月4日(木)10時~13時、2月10日(水)10時~13時
主講師: | 田野邦彦、菊池ゆみこ |
アシスタント講師: | 村井まどか、窪田壮史 |
グループワーク協力者: | こまばアゴラ劇場ワークショップ研修会受講者10名 |
オンライン受講者: | 各回30名 |